最後の最後を散発的に…。

 
これが最後の最後。
 
中二病でも恋がしたい!」レビュー。
 
 
ハイハイ‥きのうのつづき、つづき‥。
 
 
 
 

基本的な所で…

 
眼帯で右目を隠す〜ってのは、
 
左脳の活動を封印する。右脳の活動に身を委ねる。って事で、
 
数学が苦手*1〜って五話のエピソードに繋がっているのかな。
 
 
 
 

こはちょっと言い訳しておきたい。

 
十一話の状況、
 
「精神的自傷」とか大袈裟な書き方しちゃったけど、
 
 
六花が恋に溺れていた9話で中二設定を保ちきれなくなっている時、
 
森夏からの恋のアドバイス(ノウハウ本の受け売り)を、
 
言いなりに実行してた姿なんかから、
 
彼女はベースの部分でそういうタイプなんだろうな。
 
 
状況に流されやすいというか、
 
素直に受け入れ易いというか、感化されやすいというか。
 
 
それほど、深刻に解釈し過ぎるのは、やっぱ過剰だと言っておくべきかな。
 
 
 
 

やっぱり「でも」が…

 
9話。
 
自分の気付かない恋心に、戸惑う自分を解釈するのに、
 
中二病的思考は、阻害要因としてしか作用してないのよね。
 
 
そこでも、
 
中二病」と「恋」はトレードオフになってないのよね。
 
 
もう、
 
中二病こそ、恋のアクセル 〜と言っていいくらいで。
 
 
 
 

この世界には、当然テレパシーなど無いので

 
バレバレの行動を指摘し、
 
 「心を読んだ?!」
 
と答えさせていたり、
 
 
中二発言であっても、相手の発言意図が読めずに、
 
リアクションを取るまでに、ちょっとした間があったり、
 
返したリアクションが間違っていたと気付いた後、
 
まったく無かったこととして別のリアクションを返したり〜と、
 
 
さした説明もなく入れているのが、
 
拘っているな〜って、ちょっと好感ポイント。
 
 
 
 

赤い果実は魔力を低下させる

 
食べ残しを食べさせても平気(3話)
 
嫌いなものを口に放り込むほど耐えられない(9話)
 
その間に、
 
六花「それを食べるくらいなら、素手でラスボス戦に入る」(8話)
 
 
ってのがあって、それが効いているね。
 
 
それまでの六花の思いが尊敬や憧れや、救済の願望であって、
 
恋心ではなかった〜と、強調する演出として*2
 
 
 
そして、それが「赤」である事も*3
 
 
六花「赤は危険」 勇太「流石に引っかからないか〜」(8話)
 
 
 
 

邪極特異点による空間背離

 
好きな人に「好き」って言えない状態。
 
そっちは異性を意識し過ぎて〜なんだけど、
 
「口に出すのが躊躇われる言葉」を「別の言葉に置き換えないと言えない」
ってのは、
 
つらい過去をフラッシュバックさせる内容においても同じだよね。
 
これも、作話的に意図的な対比‥かな?
 
「管理局の妨害」*4や「不可視境界線」*5という言い方しかできなかった事も含め。
 
 
いや、
 
彼女の中に、それ以外の表現方法が無い。‥対応する言葉を知らない。
 
と言った方が相応しいかな…。
 
 
 
代替表現と言えば、
 
 
 「(夕日が)綺麗だな‥。」(9話)
 
 
漱石の「月が綺麗ですね」的な用法が通じるならば、
これで済んでしまうんだよね…。
 
 
 
 

不可視境界線

 
「これでより高度な契約で結ばれた」(8話)
 
 
深夜帰宅中の電車内 
 
窓ガラスガラス越しに目が合う事を、深い繋がりであると言う。
 
直接見る‥という物理的には近い繋がりよりも、より遠い、
 
間接的な繋がりの方が強いと感じる*6
 
 
 
六花の「邪王心眼」…その片眼にしかしていないカラコンの瞳。
 
鏡面で左右が入れ替わる図像を見るということは、
脳内で左右補完する素材を得ている事にもなる。
 
 
左右一方だけの半円が、揃って真円となるような…。
 
 
カラコンの瞳という虚実が両目になる完全な虚構‥
 
であると同時に、
 
カラコンを付けていない方の目も揃う完全な実体‥
 
そのどちらかだけ〜ではない、虚実伴った補完。両面からの受容。
 
 
 
 

キメラとドドメ

 
似ているけれど違う2匹のネコ。
 
2話に登場したキメラ と 11話で対面したドドメ
 
 
羽根を付けたキメラと、カラー*7をつけたドドメ。
 
補記>
2話の探しネコのチラシでは「名前 どどめん 女の子」とあった*8し、
スタッフロールでキメラは「きめら」表記。
 
 
 
同じ人間ではあるけれど「違う」人間*9に、ニセモノ*10の存在。
 
 
同じはずなのに双方で異なる「現実」。
 
同じ意味であるはずの言葉なのに、想いが正しく伝わらない台詞。
 
 
 
違っているはずなのに、同じにしか見えないネコ*11
 
 
その「存在」が、不可視境界線を邂逅させるキーを果たしている。
 
 
二代目継承の条件(インスピレーションか、セレンディピティか…)。
 
 
 
 

モリサマと凸守

 
新入生代表、壬生谷森夏(1話)。
 
成績は学年トップの凸守早苗(5話)*12
 
 
例えば、凸守が勉強優秀という設定は、
 
中二病…それがただの負荷・無駄・余剰なのではなく、
 
その中二設定によって支えられている事が、
強みとして機能しうる証拠として示しているのだろうね。
 
 
そして、
 
11話。六花の為に身体を張る凸守は、
 
それだけ必死になるほどに共感する下地があるんだろうな。
 
その窮地を経ている故であろう。
 
 
であるとするならば、
 
その境地にあって凸守はモリサマーにどう救われたのか*13
 
 
 
 

くみんの昼寝

 
森夏『こいつ‥久々の本物の天然』(8話)
 
 
くみん「お父さんの仕事で外国 行ってて、
 
 小学校と中学校は ほとんど行かずに家庭教師だった」
 
  
「普通の世界」と乖離している度合いは、
 
結社メンバーの中で、彼女が一番大きいんじゃないかな。
 
 
 
それは、森夏に指摘されるまでもなく、
 
周囲からは ずっと“天然扱い”されてはいるんだろう*14
 
しかしそれを“気に病むことも無い”ほどに、その感性は離れてしまっている。
 
中二病が恥ずかしいと思えないほどに。
 
その洋服のセンスも(森夏「昭和アイドルかっての!」(7話))。
 
 
いやむしろ、
 
中二病ほどの“個性”が無いと、
 
周囲の人間の、個性の区別が付かないほどに、
 
世界が均質に見えているのかもしれないな。‥って。
 
 
日本の画一化された日常と、あまりに退屈過ぎる故の昼寝‥なのかな?
 
(家庭教師しか居ない海外の環境で身に付けた処世術だった〜のかも知れないけれど。)
 
 
 
 

普通を目指す勇太くん

 
勇太の「反応予測」(2話)
 
 
「そんな短絡的な結論で勘違いして、後に大恥をかいた猛者は、
 地球の男性人口の80%に昇るはずだ」(4話)
 
その「常識」の方が根拠無いし。
 
 
「パラメーターをコツコツ上げた訳でも<略>ないのに、
 
 <略>…通常バッドエンド」「しかし、これは現実なんだ」(4話)
 
 
一色「お前、人間不信か?」(6話)
 
 
ラブレターを貰った親友に、イタズラや結託などの「可能性」を、
 
ネガティブな方へ 次々と披瀝する。
 
 
悲観的なのが「普通」という「常識」。
 
 
 
 

リアル?ママゴト…?

 
十花「ただのママゴトではリアリティが無いのでな」(5話)
 
 
十花が、勇太の下の妹 夢葉と行うママゴト遊び。
 
そのネタが離婚交渉(5話)とか、離婚裁判(10話)とか*15
 
「ネガティブこそリアルだ」って「常識」に捕らわれているのね*16
 
「普通」を目指す勇太の「考え方」と共に。
 
そういう「常識」が世代を飛び石にして連鎖してゆく。
 
 
 
 

ため息を吐かないために‥

 
「魔力コード解除」自宅玄関に貼り付けた電卓(2話)。
 
 
躊躇する行動を実行する前に、気を散らす行動を経るのはよくある事。
 
金星を目指す力士が土俵に登る前に、両頬を激しく叩くような気合い入れ。
 
刀匠が職場に入る前に神棚に祈るような。
 
 
姉の居候とは言え、
 
自宅に入るのに身構えなきゃならないってのは、哀しいよね。
 
 
そうとう。
 
 
 
 

邪王心眼が最強

 

副部長を断わられ、「しかたがない」と部長を勧める六花(3話)
 
 
あれ、あの応答は、
 
べつに「妥協」とかではない‥んじゃないかな?
 
普通は そう受け取るだろうけど‥。
 
 
ダークフレイムマスターに自分を率いてもらいたい
 
〜という願望に、いきなりは踏み込めないから、
 
 
遠回しに、鯖を読んで、
 
まず、自分の願望から遠い副部長を薦めて、
 
それが否定されたから、それならと喜んで、もう一歩踏み込んでいる。
 
裏返っている遠慮。
 
 
 
1話、
 
「卒業すると決めたのっ!!」と言う勇太に対して、
 
「じゃぁ、ついにレベル8の魔導師に?!」
 
と返したのも、たぶん同じ。
 
 
 
7話、
 
家族を振り切って
 
自分を掠い出してくれた勇太に対し、
 
 
 「やっぱり最強だった!ダークフレイムマスター!」
 
 
と叫んだ後、
 
 「でも、真の最強は邪王心眼」
 
と小声で添えたのも、
 
 
 
「邪王心眼によって、私が先と定められている」(10話)
 
 
も。
 
 
それらは自分の方が上だと誇示するマウンティングとかではなく、
 
相手に責任*17を被せ過ぎずに、自分で引き受けようとする六花の優しさ。
 
 
 
とても伝わり難い優しさ。
 
 
優しさであると同時に、裏返された自分の願望。
 
 
 
 
‥‥ふぅ、
 
‥‥終わった?
 
 
ま、だいたいは。
 
 
 
 

*1:中間試験で2点。数学だけ。

*2:「勇太、帰りたくない」(8話)‥その台詞の直前、私服でベランダを見上げるビジョンを挿入しているのは、その始まりも同じ恋だったのに、中二病スタイルという外形の模倣に流れてしまい、いつの間にか乖離していたものが、この瞬間に再び繋がった〜って事かも‥だけど。「月の光を浴びていく」

*3:赤は興奮色。鬱は一般的にも好ましからざるものだが、無理なガンバリズムは、鬱を死に追いやる。「頑張れ」は禁句。ベースが鬱な者を無理矢理刺激することは、躁鬱の激しい不安定な状況を作るだけで、自殺リスクを高める。鬱病は治りかけが一番危険だと言われる所為。悩む力…じっと潜行する姿勢を大切にしたい。暗色・冷色を好む。

*4:個人名を指定して、その人の指示命令という言い方をしてしまうと、その個人が悪意を持って自分を貶めるような意図があるのだと指摘しているかのようになってしまうし、その影響を受けた者が、服従させられているのだとか、言いくるめられているような、敗者や愚者であることともなってしまう。それらは自分の認識として自分では受容できない。「罪を憎んで人を憎まず」で切り分ける作法。

*5:「父は死んでいない」とは言えないからの「不可視境界線」。父と「再開(実感を伴って)」し「直接(主観的な意味で)」伝える代替環境としての不可視境界線。六花は、不可視境界線を見つける事を望んでいても、それを越えた向う側で暮らす事を求めてはいなかった。

*6:それは例えば「津波てんでんこ」という自分だけが先に逃げる行為が、一見「自分だけの事だけ考えている、自分以外を見捨てる冷たい利己的な行為」にも見える。けれど、それは「互いに互いを信頼している」という、共に行動はしないけれど、直接は見えない部分では通じ合っている。そうでなければ行えない行為である〜という事とも似ている。

*7:エリザベスカラー

*8:どどめん(ドド面)は醜い面の女〜という意味なんだけど…し

*9:「管理局の精神攻撃を受けている」状態であったり、「邪曲特異点による空間背理」であったり。

*10:特に、モリサマー(中二病時代)とニセ・モリサマー(卒業後)ね。

*11:猫の額の模様…ハチワレの切れ込みが離れているのがキメラ、

*12:五月七日くみん

*13:凸守がネットで行っている質問内容と、その答えは、かなり浅かったけどね。「平行世界に行きたい」。けど、あの厚い闇聖典(マビノギオン)を収集する過程ではどうだったのか…。

*14:「天然」もしくは「ぶりっ子」と。森夏「あんた! ぶりっ子もいい加減にしないと引くわよ!」

*15:あと、11話冒頭の 夢葉「子どもには会わせてね」とかもあるよね。十花が出立する別れの場面。

*16:離婚が多いと言ったって、別に世の夫婦の、例えば8割が離婚している〜という訳では、当然ない。ただ彼女の場合、父親に死なれた自分の家庭を不幸と思わないように、より悪い環境と比較して、自分を慰めている面はあるかも知れないね。

*17:より厳密に言うと、保護責任のような甲斐性を発揮できる能力としての責任ではなく、誰が悪いのか…と最終的にババ(処罰)を引か(転化)させられるような意味での「責任」。