影が漏れ出る

ヤモリに出逢った。
 
外で。
 
場所が場所だけに「家守」ではないかな。
 
 

通り過ぎたその背後で、
 
影の中から溶け出してきた。
影が千切れたかとも思った。
 
虫とは違う動きで、素早かった。
 
 
その違和感を確かめたくて振り返った。
 
薄っぺらいソレは、まだ影に見えた。
 
 
小さい。
 
体長は4cmほどだろうか…。
尻尾を含めなければ、2cm強。
 
よく見てもそれは黒かった。
 
 家で見かけるのは、白いよね。
 
 
捕まえようと摘んだら、
  
キュー
 
…と泣いた。

いや、鳴いたんだけど。
 
切なく拒絶の意を含んだソレは、泣いたと言った方が相応しいくらい。
 
その小さな体には似付かわしくないくらいの声で泣いた。
 
子猫のように。
 
 
この子とも進化の樹形図で繋がっているんだな…。
 
そんな風にも思いながら、その場に放してやった。
 
気持ち、ゴメン ゴメンと謝りながら…。
 
出番無し…σ(~-~)